QDT10月
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42QDT Vol.37/2012 October page1256 部分床義歯による歯周病的リスクおよびう蝕リスク、とくに歯周組織への影響は、過去にさまざまな報告があり、とくに構成要素が歯肉縁に近い場合、歯周組織に悪影響を及ぼすことが明らかとなっている1。構成要素の中でも下顎の大連結子についての研究では、下顎大連結子と歯頚部との距離が近くなると歯周組織への為害的刺激が強くなるという報告2や、リンガルプレートタイプ(金属床のリンガルプレートや、以下のレジン床によるリンガルプレート、すなわちレジンアップ)の義歯を装着すると、リンガルバーの義歯に比べてより多くのプラークの蓄積が起こるという報告3がある。 下顎の部分床義歯では、大連結子として第一選択となるのがリンガルバーである。このことはどの教科書にも明記されており、保険の算定項目にも鋳造のリンガルバーが含まれている。リンガルバーはレジン床によるリンガルプレート、すなわちレジンアップの設計と比べて大連結子としての耐久性・強度が高い。維持はじめに─レジンアップとはどのような義歯か?─ 部分床義歯のレジン床が支台歯を含む残存歯の一部を被覆する設計を「レジンアップ」とよぶことがある。図1aは義歯による粘膜の痛みを主訴に来院した患者の初診時の口腔内写真である。下顎にレジンアップ設計の義歯が装着されていた。義歯を外すと、レジン床に覆われていた下顎前歯部舌側の歯肉に強い炎症症状が認められた(図1b)。ただちに口腔衛生指導を行い、リンガルバーを用いた新義歯を再製作して装着したところ、短期間で歯周組織の状態は改善した(図1c)。 図2は、他院で義歯装着後5年間、1度もメインテナンスを受けてこなかった患者の、初診時の口腔内写真と義歯の写真である。下顎に装着されたレジンアップ義歯に被覆された下顎前歯舌側が、う蝕に罹患していた。また、義歯による被覆部に多量のプラークが貯留していた。QDT Original ArticleリンガルバーVSリンガルリンガルバーVSリンガルプレート(レジンアップ)を細菌学的に比較する─部分床義歯による歯肉縁の被覆が歯周組織とポケット内細菌叢に及ぼす影響─青 藍一郎/若林則幸/五十嵐順正歯科医師・東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 部分床義歯補綴学分野東京都文京区湯島1‐5‐45
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